根っこから引き抜くことも出来ない草をぶちぶちとちぎる。 この庭の草をむしりだしてはや1時間。もう日もくれそうだ。—————魔力切れてないのだけが良かったけど… 切れなかった理由はこの庭。 あの魔法使いが使った残りカスの…続きを読む
長編
ドラッグストアへようこそ 2
「お前…なんてことをしでかしてくれたんだ」 瓶の中身は地面の染みになっている。「な、なによ」「それはな、マンドラゴラ一〇〇だ」「え! なんで??」 噂には聞いたことがある。 マンドラゴラ一〇〇とは、魔界に伝わる秘薬中の秘…続きを読む
ドラッグストアへようこそ 1
惚れ薬。 でかでかと掲げられた看板の前に、サキュバスのフォニー・アイネスは拳を握りしめた。 どこからどう見ても人間にしか見えないように耳をストールで隠し、しっぽをスカートにしまい込んで準備に準備を重ねた姿。フォニーは再…続きを読む
ドラッグストアへようこそ プロローグ
「ただいま」 少年は母のおかえりという気持ちを受け止めた。 それと同時に、「薬、買ってきた」 嘘だった。少年が足を棒にして、森の中からありったけの知識で集めてきたものだった。 テーブルに突っ伏している母は何とか起き上がり…続きを読む
領主館へようこそ あとがき
最後までお読みいただき、ありがとうございました。 おそらくシリーズで最も業の深いキャラクター、ジョット・コーウィッヂを掘っていく感じにしてみたのですが、うーん…うまくやれたかはなんとも。 今回一人称&途中で折り返すとい…続きを読む
領主館へようこそ エピローグ2(どこかのおはなしのプロローグ)
「ようこそエトワへ! はじめまして! 僕がエトワ領主のジョット・コーウィッヂ、44歳デェーッス☆」 畑道のど真ん中で仁王立ちして目の脇にピースサインを作って決めているどう見ても十代半ばの少年を目の前に、ジョージはこう思っ…続きを読む
領主館へようこそ エピローグ1
その日墓地に立ち寄ったベータは、そのまま領主館に戻ってきたようだった。 ジョットと二人でそのまま離れの小屋に向かっている。 明日は新しく人が来ることになっている。 だから、ユンはその準備をしていた。 今の段階はそんなに…続きを読む
領主館へようこそ 90
ジョットは混乱していた。 自分が何を言ったのかも分からないうちに、ユンがもっとわからなくさせたからだ。 ユンはそのまま続けた。「え? だって…そうですよ。 いいじゃないですか。 私は、コーウィッヂ様の優しいところとか、…続きを読む
領主館へようこそ 89
ジーの言葉たちがわんわんとジョットの頭蓋骨の中で呼応していた。 少しずつ少しずつそれは体中に広がっていって。 目の前のユンとその言葉が一続きになった時、「あはははっはははは!」 ジョットは涙の出ない目を擦った。「えっと…続きを読む
領主館へようこそ 88
「持病があるのも知らねぇで…」「黙ってたからね」 翌日やってきた村長と、伏し目がちなリア。 リアのほうはそのまま何か呟いているような唇の動きで、ジョットは見て見ぬふりをした。「じゃあ、一緒に行こうか。 みどりちゃん、コビ…続きを読む