長編

ドラッグストアへようこそ 3

 根っこから引き抜くことも出来ない草をぶちぶちとちぎる。 この庭の草をむしりだしてはや1時間。もう日もくれそうだ。—————魔力切れてないのだけが良かったけど… 切れなかった理由はこの庭。 あの魔法使いが使った残りカスの…続きを読む

ドラッグストアへようこそ 2

「お前…なんてことをしでかしてくれたんだ」 瓶の中身は地面の染みになっている。「な、なによ」「それはな、マンドラゴラ一〇〇だ」「え! なんで??」 噂には聞いたことがある。 マンドラゴラ一〇〇とは、魔界に伝わる秘薬中の秘…続きを読む

ドラッグストアへようこそ 1

 惚れ薬。 でかでかと掲げられた看板の前に、サキュバスのフォニー・アイネスは拳を握りしめた。 どこからどう見ても人間にしか見えないように耳をストールで隠し、しっぽをスカートにしまい込んで準備に準備を重ねた姿。フォニーは再…続きを読む

ドラッグストアへようこそ プロローグ

「ただいま」 少年は母のおかえりという気持ちを受け止めた。 それと同時に、「薬、買ってきた」 嘘だった。少年が足を棒にして、森の中からありったけの知識で集めてきたものだった。 テーブルに突っ伏している母は何とか起き上がり…続きを読む

領主館へようこそ あとがき

 最後までお読みいただき、ありがとうございました。 おそらくシリーズで最も業の深いキャラクター、ジョット・コーウィッヂを掘っていく感じにしてみたのですが、うーん…うまくやれたかはなんとも。 今回一人称&途中で折り返すとい…続きを読む

領主館へようこそ エピローグ1

 その日墓地に立ち寄ったベータは、そのまま領主館に戻ってきたようだった。 ジョットと二人でそのまま離れの小屋に向かっている。 明日は新しく人が来ることになっている。 だから、ユンはその準備をしていた。 今の段階はそんなに…続きを読む

領主館へようこそ 90

 ジョットは混乱していた。 自分が何を言ったのかも分からないうちに、ユンがもっとわからなくさせたからだ。 ユンはそのまま続けた。「え? だって…そうですよ。 いいじゃないですか。 私は、コーウィッヂ様の優しいところとか、…続きを読む

領主館へようこそ 89

 ジーの言葉たちがわんわんとジョットの頭蓋骨の中で呼応していた。 少しずつ少しずつそれは体中に広がっていって。 目の前のユンとその言葉が一続きになった時、「あはははっはははは!」 ジョットは涙の出ない目を擦った。「えっと…続きを読む

領主館へようこそ 88

「持病があるのも知らねぇで…」「黙ってたからね」 翌日やってきた村長と、伏し目がちなリア。 リアのほうはそのまま何か呟いているような唇の動きで、ジョットは見て見ぬふりをした。「じゃあ、一緒に行こうか。 みどりちゃん、コビ…続きを読む