「じゃあ、これで」「ありがとう。子どもの相手してくれてる間に用事済ませられて助かったわ」 勉強を教えるのは無理——魔族の勉強は『人間の捕らえ方・調理の仕方』とかだった——なのだが、雑用でも片付くと違うらしかった。 ベータ…続きを読む
長編
ドラッグストアへようこそ 12
「ふぉにーちゃん!」「おねーちゃん!」「おばちゃん!」—————ノープランで何とかなるもんね。 人間ぶる気力が先ほどの会話で失せてしまったコスプレおねーさんフォニーは、魔族全開で鬼ごっこ中。 孤児院の前庭で子どもは怯むこ…続きを読む
ドラッグストアへようこそ 11
「なるほどねぇ」 魔法使いはあのあとずっとずーっと黙りこくったままなので、フォニーは自分で自分の状況を彼女に説明した。「マンドラゴラ一〇〇なんて持ってたんですねぇ」「少々入用でな」「でも、しょうがないのでは? 瓶が割れた…続きを読む
ドラッグストアへようこそ 10
「はいー!」 パタパタ以上ドシドシ以下の重たげな足音とともに、声がドアに近づいてきた。 開いたそこに現れたのは、ふくよかな妙齢の女性。「あらあらあら」 しばらくしげしげと魔法使いとフォニーを見つめ、にっこりすると、「じゃ…続きを読む
ドラッグストアへようこそ 9
魔法使いが起きる前に朝帰りして、寝て起きる。 いつも通り階下は静かだが、一つ違うところがあった。「何その荷物?」 店が台所まで浸食しだしたのかと思うくらい散らかっている。 鞄と風呂敷的な布はある。出かけるのか? 大方、…続きを読む
ドラッグストアへようこそ 8
「街まで行ってくるから」 フォニーは自室に戻ろうとする魔法使いにすれ違いざま言いおいた。 そうか、とぼそっと呟いた魔法使いは、そのまま興味なさげに——目元はいつも通りだが——部屋に吸い込まれていく。 壁を抜けて街に飛び立…続きを読む
ドラッグストアへようこそ 7
「ところでさ」 腹立たしい儀式が終わり、いつの間にか撤収作業を終えた魔法使いのあとに続いて家に入ると、机の上に何か置いてある。 色とりどりの布…でなはい。服だ。「これ何?」 魔法使いは腑に落ちない顔をし、そのまま無言。「…続きを読む
ドラッグストアへようこそ 6
フォニーは魔法陣の中心に飛び乗った。 罠かも? とか、何も考えなかった。「で! あたし、なんかすることあんの!?」 踊るとかしゃがむとか。「いや、特にない」「マ~ジ~でぇぇえ~~(リズミカルに)」 歌い上げてしまった。…続きを読む
ドラッグストアへようこそ 5
ふらふらと自分に与えられた部屋に戻り、どうせ眠れないベッドに横たわり。 耐えられなくなって、壁を抜けて、抜けて、抜けて、草むしりしていた庭に出ると、月明かりに照らされて魔法使いが捨てたゴミが輝いている。 昼間にフォニー…続きを読む
ドラッグストアへようこそ 4
夜、つまりフォニーの独壇場。 魔法使いはあんな自堕落っぽい見た目のくせして朝型とみられ、あのあとちょっとしたら部屋に戻っていった。 有難い。ここにいても顔を合わせることはあまりないということか! とその後室内などの散策…続きを読む