長編

ドラッグストアへようこそ 23

「やっぱあれ、美味しかったなぁ」 さらにその日から三日。ベータが帰ってくる頃になっても、体の動きがスムーズ。栄養ドリンクとは比較にならない。 やはりフォニーはサキュバス。精力からでないと生きる力は補えない。 寧ろ栄養ドリ…続きを読む

ドラッグストアへようこそ 22

 来客というのは主が留守の時ほど多いものなのか。 だから、じじい二人がやってきた二日後、やることを整理しつつ体を動かそうなどと、ちょっとばかり調子こいて裏で草むしりしだしたところに、裏口まで回り込んで人がやってきて、今鉢…続きを読む

ドラッグストアへようこそ 21

 シーン…「え、ちょっと、急に黙らないでよ」 マンドラゴラ一〇〇の名前を出した瞬間これだ。 二人とも、今しがた見覚えのある表情でちらっちらっとお互いに目配せ。「…酒だ」「あ…ああ、そうだな」 天使じじいの慎重な発言に魔族…続きを読む

ドラッグストアへようこそ 20

 結論、ベータの栄養ドリンクは効いた。 人間向けのやつは天使が普通に動けるレベルで、魔族向けのやつは魔族がむしろ元気になるレベルで。「で、お前、だれ?」「ここで何をしている?」 椅子に腰かけた天使と悪魔は今、さっきまで瀕…続きを読む

ドラッグストアへようこそ 19

 『人が来たら居留守でかまわん』と聞いていたフォニーは息をひそめた。「いないのか?」—————おいおいベータの知り合いかよ、このタイミングで?? フォニーはしかし、言いつけを守ることにした。 だって知り合いだからっていい…続きを読む

ドラッグストアへようこそ 18

「いってら」「ん」 と、まあ、うんとかすんとかそんなのをしばらくもごもごしながら、箒が上に上昇し、あっという間に小さくなったのは昨日のこと。 今日は外出する体力も気力もないまま、起き上がって棚に並ぶ作り置きの大量の栄養ド…続きを読む

ドラッグストアへようこそ 17

 翌朝はフツーに起きれた。 ベータの足音以外にドカン! バキン! みたいな音が下の階から聞こえたが。 多分、クレアさんのところにまた行くから準備をしているのだろう。 フォニーの頭には耐え難い重さで響いていた。目の奥にほん…続きを読む

ドラッグストアへようこそ 16

「で?」 あの日は叫んだので精神と体力の限界を迎えたフォニーがそのまま寝落ち。 次に目が覚めたのはもう日が落ちる時間であった。 向かいにはベータ。 フォニーは壁ギリギリまで椅子をさげ、机の上に伸ばした両足を載せて両腕をだ…続きを読む

ドラッグストアへようこそ 15

—————いたい! 火傷をしたときのような熱と痺れが目の奥から染みて、頭の奥まで突き刺さってしまいそうな。—————『間に合うか?』 すぐに涼しいような感覚に変わるが、じりりとした熱は残り続けてフォニーを奥から焼き尽くし…続きを読む

ドラッグストアへようこそ 14

 使者が立ち去る足音を玄関まで追って魔界の門をくぐったら帰れるんじゃないかという希望よりも、見つかったときにぶち殺される恐怖が勝った。 もう出てもいいでしょ、と相当時間がたった後にこそぉっとドアを開ける。ベータは階段を上…続きを読む