長編

ドラッグストアへようこそ 43

 フォニーの言に、クレアは少し悩んだあと、「ほんとは分かってあげたいところよね。でもまあ謝らないよりはいいかしら。 こういうの、時間が解決するものよ? 相手がティーンエイジャーでも、しばらくすると分かってくれると思うから…続きを読む

ドラッグストアへようこそ 42

 あの男がベータだったら、フォニーはどうしていたろう。 このベータのローブは無臭だし、現実にもフォニーが不衛生指摘してから気を遣っているのでここまで汚れていない。 その代わり、薬草やらなにやらの匂いが染みついていた。 真…続きを読む

ドラッグストアへようこそ 41

 他人の夢に土足で入っていく羽ばたきは軽快に、しかし静かに。 夢の入り口から奥の方へと進んで見当たった、急に明るくなるエリア。 思いのほか早く入り口より内部にたどり着いたのは、おそらく男の眠りが浅いからだろう。 とすると…続きを読む

ドラッグストアへようこそ 40

 ベータは口元を悪い方に歪ませて、「何に対して」 手に持ったパンを、この後出て来そうになっている言葉を押しとどめるように口につつきこんだ。「わかんない」 正直なぜベータがそんなに怒っているのかよく分からないからだ。 ただ…続きを読む

ドラッグストアへようこそ 39

 ベータの拳には血管が浮かんでいた。土気色の顔に赤みがさしているのもそうで。 怒鳴りつけるのを押さえながら喋りだしているのが分かった。「お前…」「な、何よ」 ベータは一度うつむいた。目線の先には床下の通気口があった。「お…続きを読む

ドラッグストアへようこそ 38

「どうだ」 裏口から出てきたマルタンが、蛸怪人の様子をうかがっている。 すると、ぷにょにょっと少しずつ、一本だけちぎれた足の先が再生してきた。 裏口の奥で何かが跳ねる音がすると、ほどなくちぎれた足が飛んできた。 切断面と…続きを読む

ドラッグストアへようこそ 37

 蟻の魔物が生贄になることを拒否し、こちらに向かってきている。—————しゃーなし。 手元の武器の用途ができてしまったじゃないか。 フォニーは突進してきた蟻の頭に思い切り突き立てた。 後続の逃げようとしている蟻がおとなし…続きを読む

ドラッグストアへようこそ 36

 迎えた魔族リハーサル当日、のはずだが。「もう時間なんじゃない?」「ああ。時間に沿って来ない。予定通りだ」 ゆっくりと昼食を済ませながら待っても来ない。 1時間経過。 来ない。 2時間経過。 来ない。 3時間経過。 その…続きを読む

ドラッグストアへようこそ 35

 王宮魔法師が持っていた呪符の柄。 昔だれかに見せてもらった古い本、人間界では禁種となっている古代魔法の呪符と同じ柄だった。 触れたらフォニーは重度の火傷プラス魔力を半分吸い取られてしまう代物のはず。 ついうっかりそれを…続きを読む

ドラッグストアへようこそ 34

 国軍の予行演習は、晴れやかな日に行われた。 全員ではないらしく、一部ピックアップしたメンバーで魔法がきちんとかかるか等を試すのだそうだ。 で、フォニーの顔も覚えてもらいーの、向こうの様子も見ーのというイベントなのだが。…続きを読む