ドルの行動はやはり早かった。 「お嬢様」 メイド長は翌朝、朝食後に話をしにデイジーの部屋へとやってきた。 「あの方のおっしゃることはもっともですもの。お嬢様はこのところ学業への姿勢が真摯になってきたと。でも、過ぎたるは…続きを読む
長編
昼と夜のデイジー(旧版) 20
「ああ、勘違いしないで。なにも僕んちに泊まっていけっていうことじゃないんだ」 ドルは両手を前に差し出し、違うんだよと繰り返した。 「僕の故郷の辺りに、療養って名目で泊まりに来て。空いた時間を見て、僕の実家に来るんだ。二…続きを読む
昼と夜のデイジー(旧版) 19
遅い。ドルが遅い。 何でだろう。いつもはこの時間にはとっくに来ているのに。 母とのにがーい食卓の翌日。私はドルを部屋で待つのに飽きていた。 もういつもよりも二時間近く遅れている。 でも彼はいつも通り、階段を上が…続きを読む
昼と夜のデイジー(旧版) 18
結局いつもの通りだらだらした後、ドルは帰っていった。 今日分かったことは二つ。 一つは、私は箒とモップのヤキモチ合戦に巻き込まれたらしいということ。 もう一つは、ドルが何か隠していること。 ──―――隠してるのか…続きを読む
昼と夜のデイジー(旧版) 17
「ただいま」 ドルはまた、部屋の前でメイドと談笑していた。 「だからさ、っと、ああ、お帰りなさいませ、お嬢様」 妙な喋り方のドル。何か隠しているのだろうか。 「じゃあ、また…」 私は一言で、部屋に入った。 着替え…続きを読む
昼と夜のデイジー(旧版) 16
その一週間で何とか魔女バーギリアを制覇した私は、他の同世代の子たちのレベルを全く分かっていないにもかかわらず、『私すげー!』と思っていた。 ドルはあんなこと言ってはぐらかしたけど、私は気になる。 そこで、一ついいこ…続きを読む
昼と夜のデイジー(旧版) 15
──―――ふらふらしてる場合じゃない! 足に力を入れなおした私。 投げキスをしていたはずのドルは、いつのまにか私を支える姿勢になっていた。 でも、腹の底から湧き出る笑いを押さえる気は皆無のようで。 「で、どこをどう…続きを読む
昼と夜のデイジー(旧版) 14
翌日、ドルは開口一番こうのたまった。 「ん? なんだか今日は寝不足顔だね。どしたの?」 しれっとした顔のドルに対して、お前のせいだろう! という言葉が咽喉まででかかったけれど、私はそれをぐぐっと堪えることに成功した。…続きを読む
昼と夜のデイジー(旧版) 13
本当に来るのだろうか。 時間すら言わなかったドルのことが気になって、もう既に夜十一時である。 眠い。でも、眠りたくない。 ──―――だって、箒のこと、気になる。 今日は風もない。雲もない。モップでの飛び心地は私に…続きを読む
昼と夜のデイジー(旧版) 12
家庭教師しか予定がなかったここまでの生活に、突如散歩という予定が加わったというのに、ドルは全く問題にしていない様子だった。 あたりまえだ。 そもそも家庭教師の仕事をほとんどしていなかったのだから。 「その間ドルはな…続きを読む